不動産収入がある場合、給与所得者であっても年末調整ではその所得を申告しません。これは制度上の仕組みによるもので、収入がある場合には確定申告でまとめて処理する必要があります。本記事では、一般の方とサラリーマンのケースを例に、収入の取り扱いや申告の書き方までわかりやすく解説します。

1 年末調整で不動産収入が扱われない理由

1-1 年末調整の基本的な役割

年末調整は、給与所得者の1年間の所得税を調整する仕組みです。会社が給与から源泉徴収した税額と実際の税額を比較し、過不足を精算します。しかし、不動産所得や副業による所得は給与以外の収入であるため、会社では把握できません。このため、一般的には年末調整で不動産所得を書かない形になります。

1-2 収入がある場合の扱い

一般の方が家賃収入や貸地収入など不動産所得を得ている場合、これらは給与所得とは別の所得区分です。必要経費や減価償却費など個別に計算する必要があるため、確定申告でまとめて申告することが求められます。

1-3 会社員の場合の例

サラリーマンが副収入として不動産所得を得ている場合でも、年末調整では処理できません。給与所得と合算して税額を計算するためには、自身で確定申告を行う必要があります。

2 不動産所得がある場合の申告の流れ

2-1 一般的なケース

一般の不動産オーナーの場合、収入がある場合にはまず帳簿や領収書を整理し、必要経費をまとめます。その上で確定申告書Bと収支内訳書に記入し、税務署に提出します。家賃収入や管理費、固定資産税などが計算対象です。

2-2 サラリーマンの場合の例

給与所得があるサラリーマンの場合も、収入がある不動産所得は確定申告でまとめて申告します。会社の年末調整は給与所得のみ処理されるため、別途確定申告書に不動産所得を記入します。住民税の徴収方法を「普通徴収」にすると、会社に知られずに申告することも可能です。

2-3 青色申告と白色申告の違い

不動産所得が継続してある場合は青色申告を選ぶと、特別控除や赤字の繰越などの節税メリットがあります。収入や経費が少ない場合は白色申告でも申告可能です。

3 不動産所得の収入や経費の整理方法

3-1 認められる経費の例

管理費、火災保険料、修繕費、減価償却費、ローン利息、固定資産税などが経費として認められます。これらを正しく計上することで、収入がある場合でも税負担を抑えられます。

3-2 赤字の場合の扱い

収入がある場合でも経費が上回ると赤字となります。赤字は他の所得と損益通算できるため、サラリーマンの場合は給与所得と合算して税金を軽減することが可能です。

3-3 会計ソフトの活用

一般の方もサラリーマンも、収入がある場合は帳簿付けが必要です。会計ソフトを使うことで、収入や経費の整理、申告書の作成が効率化されます。

4 確定申告書への記載方法

4-1 収入の記入

家賃収入や共益費など、実際に受け取った金額を収入欄に記入します。一般の場合もサラリーマンの場合も、まず正確に金額を整理することが重要です。

4-2 経費の記入

必要経費として計上できる項目を整理し、収支内訳書または青色申告決算書に記入します。経費の計上ミスがあると税務署から確認が入る場合があります。

4-3 所得金額の算出

収入から経費を差し引いた金額が不動産所得として申告されます。この所得額が給与所得と合算され、最終的な所得税額が決定されます。

5 申告の注意点と節税ポイント

5-1 修繕費と資本的支出の区分

修繕費は経費として処理できますが、建物価値を高める工事は資本的支出として減価償却の対象です。収入がある場合でも区分を間違えないことが大切です。

5-2 家族への給与の取り扱い

青色事業専従者給与として経費にできる場合があります。ただし実際に業務に従事している必要があり、名義だけでは認められません。

5-3 住民税の徴収方法

会社に給与以外の所得を知られたくない場合は、住民税を「普通徴収」で申告することで回避できます。

6 まとめ

収入がある場合でも、一般の方もサラリーマンも不動産所得は年末調整では処理されません。確定申告で正しく申告し、必要経費を計上することで、適正な税額で納税できます。青色申告や帳簿管理を活用すれば、長期的に節税効果も期待できます。年末調整で記入しないのは制度上当然のことであり、安心して確定申告に備えることが大切です。

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