一棟売りビルの値段はいくら?東京のオフィスビルの値段や購入の注意点など徹底解説

一棟売りビルの購入は資産運用や事業拡大に役立ちますが、ビルの値段や一棟あたりいくらが適正かを知らないまま契約するとリスクが大きくなります。本記事では、東京でオフィスビルを一棟買いする際の注意点や価格の考え方を、初心者にも分かりやすく解説します。まずは東京のビル価格の相場から見ていきましょう。 都心のオフィス街に立ち並ぶ一棟ビルの外観例。エリアや規模によって、一棟ビルの価格には大きな開きがあります。東京では立地条件が価格に直結するため、購入前に市場相場を把握することが重要です。

1. 東京のビル値段の相場

東京でビルを一棟買いする際の値段はエリア差が大きいため、まず市場価格の把握が重要です。最新データによれば、東京全体のオフィスビル一棟あたり平均価格は約6億5,500万円ほどですが、実際の取引価格は立地や規模により1~2億円程度の物件から数十億円規模の物件まで大きな幅があります。

1-1. 東京中心部のオフィスビル相場

東京駅・新宿・渋谷などの中心地では、延床面積1000㎡前後(約300坪)のオフィスビルでも10億円〜30億円が相場です。駅距離や交通利便性がビル値段を大きく左右します。

実際、大手町・丸の内など都心一等地では、延床面積330㎡(100坪)規模のビルでも約8億~13億円前後で取引されており、これを1000㎡クラスに換算すると20~30億円超になる計算です。都心部では需要が非常に高いため、同じ規模でも地方に比べ突出して高額になります。

1-2. 東京郊外の一棟ビル相場

東京23区外や下町エリアでは、同規模(延床1000㎡前後)でも5億円前後と割安になり、利回りが上がるケースもあります。一棟いくらで購入できるかは、都心と郊外で大きく異なります。

例えば、城東エリア(錦糸町・亀戸周辺)では延床330㎡規模の相場価格が3億8,000万~6億円程度に留まるとのデータがあります。郊外は賃料単価が低い分価格も抑えられ、表面利回りも都心より高めです。

実際、東京都心5区のオフィスビル平均利回りが約4.29%なのに対し、城東・城北エリアでは5%台を維持しています。このように期待利回りの差が価格差となって現れるため、郊外では同規模ビルを割安に一棟取得できるのです。

2. ビルの値段を左右する要素

ビルの値段は建築費だけでなく、土地価値・建物状態・収益性など複合的に決まります。主要な要素ごとに見ていきましょう。

2-1. 土地の立地と評価額

立地・面積・容積率(建てられる延床面積の上限)はビル値段に直結します。東京の駅近物件は土地の坪単価が高く、同じ規模の建物でも立地の違いで一棟あたり数億円単位の価格差が出ます。例えば、都心の一等地では延床330㎡(100坪)の一棟ビルが8~13億円前後であるのに対し、下町エリアでは4~6億円程度に留まるケースがあります。これは土地の評価額(需要)や容積率制限の違いによるもので、「どこに建っているか」がそのまま価格を決定づける大きな要因となります。

2-2. 築年数と構造による価格差

築浅の鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造のビルは価値が高く取引されます。築古物件は将来的な修繕費や耐震性の確認が必要なため、その分価格が抑えられる傾向があります。法定耐用年数の観点では、オフィス用途のRC造は50年と定められており、築50年を超えるようなビルは建物価値がほとんど残っていないと見なされる場合もあります。

実際には、同じ築50年でも軽量鉄骨よりRC造の方が耐久性が高く評価されるなど、構造の違いも価値を左右します。総じて、築年数が浅く耐用年数に余裕のあるビルほど高値で取引され、築古で耐用年数超過したビルは土地値評価に近くなるケースが多いと言えます。

2-3. 賃料収入と利回りによる影響

オフィスビルの価格は収益力(賃料収入)と密接に関係しています。空室がなく満室稼働しているか、テナントの賃料水準が高く安定しているかといった点が、一棟買いの採算を左右する重要ポイントです。

投資用不動産の評価では収益還元法(直接利回り法)が用いられ、年間賃料収入 ÷ 想定利回り = 物件価格の目安になります。 例えば東京エリアでは、1坪あたり賃料約2.2万円・期待利回り3.6%という条件を当てはめると、延床330㎡(100坪)規模のビル価格は約7億3,100万円となる計算です。

このように収益面が良好なビルほど高額で取引されますし、逆に空室が多かったり賃料水準が低かったりするビルは価格も割安に評価されます。また、現在の東京オフィス市況は空室率低下と賃料上昇傾向にあり、直近では都心5区の平均募集賃料が1坪あたり2万円超で8か月連続上昇するといった報告もあります。こうした市況動向も価格に影響する点を念頭に置く必要があります。

3. 東京でオフィスビルを一棟買いする際の注意点

大きな金額を投じる一棟ビル購入で失敗しないために、リスクを避けるための注意点を事前に理解しておくことが必要です。ここでは購入前にチェックすべきポイントを挙げます。

3-1. 老朽化リスクを確認する

築年数の古いビルは設備更新費用が高額になりがちです。特に築数十年を経たビルの場合、空調設備やエレベーターが著しく旧式化しているだけでなく、中にはエレベーター自体が無かったりトイレが男女兼用一箇所しかないなど、現代のオフィス基準に照らして設備が不足しているケースもあります。

購入前に専門家によるインスペクション(建物診断)で構造上の劣化状況や耐震性を確認し、将来的な改修コストや安全面のリスクを見極めましょう。特に耐震診断は重要で、1981年以前の旧耐震ビルであれば必ず実施すべきです。大規模修繕の履歴や劣化箇所の有無についても調査し、致命的な老朽化リスクがないかチェックしてください。

3-2. 空室リスクを見極める

オフィスビルはテナントの入退去で収益が大きく変動します。エリアの空室率やオフィス需要の動向を事前に調べておくことが重要です。例えば2024年後半時点で、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)の平均空室率は4.61%まで低下し、需要の回復が見られます。

ただし区ごとに差があり、千代田区では空室率2.6%と極めて低い一方、港区では5.9%前後とやや高めです。周辺の18区(城西・城北・城東など)では平均3~4%台ですが、築古ビルや駅遠物件では空室率が高止まりするケースもあります。

このように立地やビルのグレードによって空室リスクは異なるため、購入を検討している物件の所在エリアでどの程度の需要が見込めるか、最新の市況データや周辺競合ビルの状況を確認しましょう。

3-3. 用途地域と法規制を確認する

ビルの建っている用途地域によっては業種の制限や増改築の制限があります。希望する用途で運用できるか、また将来的に用途変更や建て替えを検討する場合に支障がないか必ず確認してください。

基本的にオフィス用途は商業地域や準工業地域であれば問題なく建築・運用できますが、住宅系の用途地域では規模や用途に制限があります。例えば第一種住居地域では小規模な事務所は可能でも大規模オフィスビルは建築が制限されますし、第一種低層住居専用地域など純粋な住宅街ではオフィスビルの建設自体が認められていません。

また工業専用地域なども事務所用途は原則不可です。購入後にやりたい事業ができない事態を避けるため、契約前に必ず用途地域の種別とそこで許可される用途・建築規模を調べておきましょう。

加えて、ビルの構造が現行の建築基準法や消防法などの規制に適合しているかも確認ポイントです。違法建築(増改築による容積オーバーや無許可用途変更)がないか、行政から是正勧告を受けていないかなども重要なチェック事項となります。

3-4. 融資条件と資金計画を立てる

ビル購入は高額のため、金融機関からの融資を利用するケースが一般的です。購入前に金利や自己資金割合を含めた資金計画を綿密に立て、無理のない返済計画を用意しましょう。

一般に、不動産投資では物件価格の15~30%程度の自己資金(頭金)が必要とされます。自己資金ゼロでもフルローンで購入することは可能ですが、その場合は毎月の返済負担が非常に大きくなりリスクが増すため注意が必要です。例えば10億円のビルを購入するなら、2億円前後の現金を用意し、残りを融資で賄うイメージです。

融資条件によってキャッシュフローは大きく左右されるため、金利上昇も見据えて余裕を持った借入額に抑えることが肝心です。 また、購入時には物件価格とは別に諸費用も発生します。

仲介手数料・印紙税・登記費用・不動産取得税・火災保険料など、物件価格の7~10%程度(中古物件の場合)の諸経費が必要になるのが一般的です。こうした初期費用も含めて自己資金計画を立て、融資と自己資金のバランスを検討しましょう。

4. 一棟買いのメリットとデメリット

一棟買いには大きな魅力と同時にリスクもあります。両方を理解した上で、自身の投資目的に合致するか判断することが重要です。以下に主なメリット・デメリットを整理します。

4-1. メリット 安定収益と自由度の高さ

安定した賃料収入:テナントからの賃料収入が毎月まとまって入るため、長期的に見れば安定したキャッシュフローが期待できます。住宅系に比べ一室あたりの賃料単価が高く、また複数テナントによる分散効果で空室リスクを平準化できる点もメリットです。

資産価値の上昇が期待できる:東京の一棟ビルは都心部を中心に資産価値の上昇が期待できます。実際、近年は建築コストの高騰など構造的要因で不動産価格が上向いており、東京都心部のオフィスビル建設費は平均坪178万円にも達しています(かつては坪100万円程度とされた水準を大きく上回る)。こうした背景から、インフレヘッジや資産保全の手段として一棟ビルを保有し、将来的な値上がり益を得られる可能性があります。

用途変更や改装の自由度が高い:一棟丸ごと所有のため、物件の用途変更やリノベーションの自由度が高いのも魅力です。テナントの入れ替えに合わせてフロア用途を変更したり、自社オフィスとして一部を利用するなどオーナーの裁量で柔軟に活用できます。

テナント退去時のコスト負担が軽減:オフィスではテナントが退去時に原状回復工事費用を負担するのが一般的です。そのため居住用マンションのように、入退去のたびオーナー側で内装リフォーム費用を負担するといったケースが少なく、運用コストを抑えられるメリットもあります。

4-2. デメリット 初期費用と運用負担

購入価格が高く資金負担が大きい:一棟ビルは数億~数十億円単位の大型投資となるため、多額の自己資金や融資枠が必要です。物件取得にかかるハードルが高く、金利変動リスクも負います。また、物件規模が大きいぶん売却して現金化するにも時間がかかりやすく、投資資金の流動性が低い点にも留意が必要です。

空室で賃料が変動するリスク:テナントが退去して空室が発生すると、収入がその分減少します。ビル一棟が空になるリスクは低いものの、大口テナントが抜けた場合の影響は大きく、次のテナントを誘致するまで収支が悪化します。経済状況やオフィス需要の変化により空室率が上昇するリスクは常に念頭に置かなければなりません。

修繕費や管理費が自己負担:ビルのオーナーは建物全体の維持管理責任を負います。定期的な設備点検や共用部の清掃・警備、防災設備の維持やエレベーターの法定検査など、ランニングコストがかかります。築年数が経てば大規模修繕も必要となり、その費用計画もオーナー自身で準備しておく必要があります。

運用に専門知識が求められる:オフィスビル市場はプロの事業者が多数参入するフィールドであり、個人投資家にとっては物件情報の収集や運営ノウハウの面でハードルが高いとも言われます。専門の不動産会社に管理委託する方法もありますが、その場合は委託費用が発生します。いずれにせよ、不動産経営の知識や経験が不足していると適切な意思決定が難しい点もデメリットと言えるでしょう。

5. 東京での一棟売りオフィスビル購入の流れ

実際に東京でオフィスビルを一棟買いする場合、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。一般的な購入の流れを押さえておくと取引をスムーズに進められます。

5-1. 情報収集と物件選定

まずは情報収集からスタートです。東京のビル価格や利回り、用途地域などの条件を比較して購入候補を選定します。収益物件専門のポータルサイト(例:楽待、ノムコム・プロなど)には、都内の一棟ビル物件が多数掲載されており、エリアや規模・利回りで検索して相場観を養うことができます。

希望エリアの取引事例を調べ、予算内でどの程度の規模・築年数のビルが買えそうか目星を付けましょう。不動産仲介会社に希望条件を伝えて紹介してもらうのも有効です。

物件選定にあたっては、単に価格だけでなく「その価格で期待できる利回り(収益性)は適切か」「立地や建物コンディションに問題はないか」も考慮します。用途地域の制約や再開発計画の有無なども調べ、リスク要因があれば早めに洗い出しておきます。

5-2. 現地調査とインスペクション

購入候補が見つかったら、現地調査(内見)を行います。建物の構造・設備・周辺環境・法規制について現地で確認し、書面だけでは分からない点をチェックしましょう。

具体的には、外壁や基礎部分にひび割れや漏水跡がないか、空調・給排水・エレベーターなど設備の稼働状況、テナント区画の使い勝手、日当たりや騒音、隣接建物との境界状況など、細部まで目視確認します。 加えて、物件資料上の法的チェックも重要です。

建築確認済証や検査済証がきちんと交付されているかを確認し、違法な増改築や用途違反がないかも調べます。過去の内装工事履歴や耐震診断結果があれば入手し、問題点がないか専門家に見てもらうと安心です。

必要に応じて第三者機関による詳細なインスペクションを依頼し、将来発生し得る修繕箇所や費用の概算についても把握しておきましょう。

5-3. 価格交渉と契約

物件に問題がなければ、売主との交渉に入ります。価格や引渡し条件、付帯設備の扱い、テナント引継ぎに関する事項(賃貸借契約の承継など)を調整し、双方合意できれば売買契約へと進みます。

価格交渉ではインスペクションで判明した不具合の補修費用を考慮したり、想定利回りに見合う価格水準となるよう働きかけます。競争入札のようなケースでは迅速かつ柔軟な交渉が求められるでしょう。

契約段階では、不動産会社による重要事項説明を受けた後、売買契約書を取り交わします。その際、買主は売主に対して手付金を支払うのが一般的です。手付金は契約成立の証拠金で、相場は物件価格の5~10%程度(法律上は20%超は禁止)とされています。都心の高額物件では手付金だけで数千万円規模になることもあります。手付金の授受により契約が正式に成立し、違約時の取り決めなども契約書に則って発生します。

5-4. 融資と引き渡し

契約後は、金融機関の審査を経て融資承認を得ます(融資利用しない現金購入の場合はこのステップは不要です)。銀行による物件評価や担保設定の手続きを進め、問題なく融資が実行される段取りを整えます。

並行して残代金や諸費用の準備、司法書士との打ち合わせ(登記情報の事前確認等)を行い、決済日(引き渡し日)に備えます。 決済日当日は、買主・売主・仲介業者・司法書士・金融機関担当者が一堂に会し、残代金の支払いと所有権移転登記の申請を行います。司法書士が登記申請を代理で行い、買主への所有権移転と銀行からの抵当権設定(融資利用時)が完了します。

その後、物件の鍵や関係書類が買主に引き渡され、一棟ビルの購入プロセスは完了です。引き渡し後はオーナーとしてテナント対応や物件管理が始まりますので、事前に管理会社と契約しておくなどスムーズな運営開始の準備をしておきましょう。

6. まとめ

東京でビルを一棟買いする際は、ビル 値段の相場理解と注意点の把握が欠かせません。しかし実際には、購入判断をする前に「今持っている不動産の価値」を知ることが最も重要です。資産価値を把握することで、購入・買い替え・売却など最適な選択ができるようになります。
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